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本書の目的はハンドドラミングについて深く詳細に解説することにある。この解説を書くに至っては様々な思考や観点があって容易には理解してもらえないかもしれない…それはこの楽器の本当の面白さが「手の中」にあるからだと私は考える。
進化のプロセスとは…時間の針に相当する指先によって進められる時計である。つまり5本の指とその先にあるもの…ハンドドラムの円形の平面上を5本の指が跳ねるところを想像してもらいたい
かつて戯曲作家ピーターブルックは『レボリューションイズコンビレーション』「革命は交尾である。」と人間の進化を説明した。ハンドドラミングにおける 進化(エボリュ-ション)のプロセスは圧縮(コンプレッション)にある。マクロ的に広がっていく発想をミクロ(指先)の技術に「どう圧縮していくのか?」ということが大きなテーマになる。
第一書『EARTH』ではこのハンドドラムを学ぶ上で必要となる基礎用語の解説をする。これは複雑な手の動きを論理的に理解する基礎を作るためである。この基礎なくしてはハンドドラム習得は容易ではない。またこの基本的用語のひとつひとつの意味がわかれば、第五書を除いて後述の3つの書はあまり重要ではなくなるはずだ。
*現在WEB上で公開されているのは、第一書『EARTH』のみです。
第二書『 WATER 』は ハンドドラムの奏法・技術を解説する。
第三書『 FIRE 』 は『第二書』の応用として、ドラミングを習得する。
第四書『 WIND 』 は ハンドドラム言語を構築する。
第五書『 TAR 』 は ハンドドラムからSPIRITを学ぶことにする。
述べたいことは限りなくあるが…少しでも多くを学ぼうと思う者は、今まさにハンドドラムの面白さを知ってもらいたい
Hand Drum Master ish
ハンドドラムは、紀元前3000年頃にメソポタミア(現在のイラク南部)に突如として現われた。もっとも最初期のものは、必ずしも丸いフレーム(枠)に皮を張ったものとは限らない。しかしその後、前2000年頃のレリーフや円筒印章に記されたものは、既に円形の太鼓を片手に持つというスタイルで描かれていることから、おそらくは皮を張ったものと推測される。以降何千年たった現在でも、同じ形とスタイルで使われ続けている。
太鼓の皮には、絵を書いたものを見かけるがそれらは音楽用というより冠婚葬祭など、儀礼的風習の中でシャーマン(祈祷師・治療師)が治療や、トランス(陶酔・恍惚)状態になって預言を行うための道具として用いられて来た歴史と装飾模様が魔除けやお守りとして邪悪な霊を払うという意味がそこに込められているためである。同時に、ここで取り上げるハンドドラムも最終的にそうした世界を学ぶためのものだという事も理解してもらいたい
基本的な形状は円形木枠の片面に皮を張ったもので、まれに四角形や筒状になったのもあるが片手に持つタイプの多くは、全て同じ形で存在する。ハンドドラムの音程は直径で決まる。小さいものから順に20〜80cmまで約7種類の音程がある。多く使われるのはC・D・E♭の3つで、主に器楽用に使われる。一般に、ダフ・タールまたはフレームドラムと呼ばれる。ダフ・タール・ベンディール等、中東系のものは、手や指先を使って叩き、ネイティブアメリカンおよびケルトスタイルのフレームドラムはマレットや撥(木や竹の棒)を使う、表面は山羊・または羊の一枚皮をそのまま張るか、脂を塗ってから貼る。最近ではガラスを紙状にしたファイバースキン製のハンドドラムもある。
■ハンドドラムを構成する各部の名称
@Rim(リム) :胴枠
本来の形は、丸いフレームだけであった。後に、より遠くへ響かせる目的で長い胴を持つに至った。 現在でも、木の枝や棒を曲げたり、穴を掘って作られたものがアフリカの一部や東南アジアの特定地域に存在する。使われる種類や材質は 鉄・アルミ・硬質プラスティック 木:パイン(松)ローズウッド(桜)ハカランダ(杉の一種)腐食や虫に強く加工がし易いチーク材が多く使われる。アルダーその他集合材や合板製などもある。
AHead(ヘッド) :鼓面
皮が張ってある側を鼓面・反対側をサウンドボール(響面)と呼ぶ、サウンドボールにはTHIN(浅い枠)DEEP(深い枠)の2種類があり、叩くポイントによって「響き」に違いがある。皮には山羊が多く使われる。*羊・山牛(ヤク)・ラマ等の皮を張ったもの。儀礼の折に生贄として捧げられた動物の皮を使う等、生贄にされた動物の肉を食し儀式の後に太鼓に皮を貼るものもある。この際、作られた太鼓は何代にも渡って受け継がれていく。現在では、こうした風習はあまり行われない。例外的には、コプト教の典礼・イスラムのスンニ派の一部やネイティブアメリカンの間では、現在も行われている。皮止めには膠(にかわ)などの接着剤や鋲などが使われる。
BGrip(グリップ) :握り(下部)
グリップについて 持つ場所が決まっているものと、決まってないものに分けられる。握る部分が決められているタイプには次のようなものがある。
1.胴枠に穴があり、指を指し込んで固定する: リムを半回転させて叩くスタイル
2.胴枠の一部分が削って握り易くなっている: 左指を使うスタイル
3.胴枠内側に十字のフレーム(骨組)が付けてある: 左手で十字部分を握り、主にマレットやスティックを使って叩くインディアンフレームドラムやケルトスタイルに多い
握り方によって構え方・奏法にも違いがある。大まかに分類すると@座奏(胡坐・台座) A立奏(片手・両手)B舞奏(片手)*)舞奏は山岳系民族のシャーマンの祈祷の際に見られる奏法で片手に小型の枠太鼓もう片方にはスティック状の祭祀棒(お守り)を持ち、呪文を唱えながら踊る。ハンドドラムにおけるグリップは、単に楽器を支える箇所ではない 楽器に例えれば、音程を調節したり、音質を変える部分にあたる。
1.ミュート(消音)2.チョーク(音程調節)3.ベンド(曲・傾斜)4.ホールド(固定)など左指の使い方が音質を大きく左右する
CBridge(ブリッジ) :駒(上部)
ブリッジ:グリップから胴枠を挟んで反対側の点を指し、Grip(グリップ)からBridge(ブリッジ)までを直線で結んだ距離をTAR(1音または1弦) TARの半分をオクターブポイント またはハーモニクスポイント(倍音)と呼び TARの等分点を使うことで旋律に似た響きを得ることができる。
*ポイントには 1/2tar 1/4tar 1/8tar などがあり、TAR:は古ペルシア語で『音』あるいは『弦』を意味する。
「もし本来あるべきリズムがあるとすれば、それは極めてシンプルなものである。」
Iqa(イカー): 中東におけるリズム体系のこと
リズム(拍子)はその基本の形として母音と子音から成る発音構造を持ち、次の3つに分類されている。
vowel + consonant (VC, ex1, xy, D)
consonant + vowel (CV, ex2, yx, E)
vowel + consonant + vowel (VCV, ex3, xyx, T)
*tibir(2,3,4,5): hand; palm; blow, strike ('life' + 'open, release' ? 'the beggar's open palm').
上記の分類において対象とする拍は、Vowel(母音)とConsonant(子音)という組み合わせから 生まれる打音を示している。
D(音)ドゥン E(音)エス T(音)タクまたはティク
Eは休符とも考えられているが、無音ということではなく、より正確に解釈するならば、どれにも属さない音という意味になる。
これらは太鼓の叩く位置(打点)を変えることで容易に得られる単純なものでありこの段階ではそれぞれの音に関係性はない。では最小のリズムというのはどういうものだろうか? 仮に連続するひとつの打音…と考えるならば次のように叩くことになる。
D・D・ または T・T・
表の拍に対して・必ず裏の拍が存在する。上記では どちらの音にも共通する・音は裏の拍ということになる。交互に繰り返されることでひとつのリズムが成立するので・音という空拍とD音またはT音のどちらかがあれば、リズムが生まれる。
ここで重要なことは、リズムの軸になる音はE(空音)にある。ということである。E(エス)は単独では存在することはなく、その前後にある拍との対比(コントラスト)によって生まれる付加リズムと解釈される。
以上のことからリズム(iqa)とは、E(エス)を基準にD(ドゥン)と呼ばれる低音とT(タク・カ・ティク・テ)高音とによって導き出される任意の拍子ということになる。
これをハンドドラムではイカー(リズムの分子拍)と呼んでいる。これを原理として生まれてくるのが リズムの最小単位Iqである。これには 次の3つがある (*単位を省略Iqa→iq)
1. ishten : (eD, De, eT, Te) 1 2. shena : (Di, Dt, iT, Te) 2 3. shalash : (iDE, EDT, , , , , , ,) 3拍
2拍と3拍はリズムの最小構成拍と考えてもらいたい、そしてこの2つの拍は、単独あるいは相互にリンクしながらリズムへと発展する。ただしこの段階ではまだリズムに性質は備わっていない単純な拍の組み合わせだけであってリズム(拍子)は生じていない状態を指す。
2拍 = D T シエナ(shena) 3拍 = DET サラサ(shalash)
1.esエス・isイス1種類の音で示される1拍子 0iq(拍子):es エス 属さないE音(空音) 1iq(拍子):is イス 任意のDまたはTの1音 2.enaエナ2種類の音で示される2拍子 2iq(拍子):ena エナ D・Tの2音 3.slsサラサ3種類の音で示される3拍子 3iq(拍子):sls サラサ D・T・Eの3音 1拍子:es=is 2拍子:shena=ena 3拍子:shalash=sls
■基本iqaの概念
0拍 0es
ishte:n 1拍 1is
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shena 2拍 2iq
shalash 3拍 3iq
erbe 4拍 4iq = 2+2拍
h.amish 5拍 5iq = 2+3拍
shishshu 6拍 6iq = 3+3拍
sebe 7拍 7iq = 3+2+2拍
sama:ne 8拍 8iq = 3+3+2拍
tishe 9拍 9iq = 3+3+3拍
esher 10拍 10iq = 3+2+3+2拍
12拍 12iq = 3+3+3+3拍
3+3+2+2+2拍
3+2+3+2+2拍
2+2+2+2+2+2拍
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さて前項の解説から様々な拍子もすべて2つのiqから構成されるということがわかった。 では実際にこのiqを音にするとどうなるのだろう?
iq は音として「基本音」maqa-m(マカーム)に依存する。
maqa-m(マカーム)はテトラコード(基準の音とそれに含まれる音の集合体)がひとつ以上で構成される音楽様式と定義される。つまり「音程・調・音色を持ったひとつの形式」を指し、私たちが通常チューン(調べ)と言っている意味に近い…厳密に言えば、弦楽器ではないハンドドラムが「マカーム」を引き合いに出すのは少し変な話かもしれないが、他の打楽器と違って胴を持たないハンドドラムは倍音を限定されないため、鼓面の振動を調整することで自由に音色を変えられるのである。特に「倍音」や「パドル」を理解する上で、重要なポイントである
ハンドドラムにおける「マカーム」はすべてTARの中にある。
グリップからブリッジまでを直線で結んだ距離をTAR(1音) 距離の等分点をハーモニクスポイントと呼び、叩く場所によって得られる音程や響きが変わる。主なハーモニクスポイントは1/2tar 1/4tar 1/8tarがある。ハーモニクス奏法というのはこの倍音の生じる点を使う演奏技法を指す。またこの倍音は、打点位置の変化やD音・T音を組合わせることで楽音のような複雑な響きにすることができる。 これをハンドドラム上の「マカーム:基本音」と呼ぶ
イスラム神秘主義音楽における「マカーム」は目的を持った自分の努力によるものと解釈されている。それと表裏の関係にある「ハール」は「贈り物」であり、唯一性への確信へと導いてくれるもの、そして自己の内面世界にある王国から吹いてくる「風」を感じ、心の「光と闇」の違いを感じることを意味する。「ハール」を内面世界へ入ってくる「収縮と拡張の波」だとすれば、その波の安定的な連続を「マカーム」と呼ぶ。また「ハール」が絶対的意志によって現れたり消えたりする「波の束」を意味するのに対して、「マカーム」は「ハールの波」の後の安定や鎮静に例えられている。
さて問題はここからだ…まず、より良い響きを得ようと頑張ってハンドドラムを叩いてみる。ところが一向に鳴る気配がない…実は、鳴るというより唸るという方が正しい。振動する音をイメージしてほしい…コマやモーターが回転して出す音…みなさんは、糸電話というものを子供の頃に作った記憶があると思う、「2つの紙コップの底に穴をあけ、糸を通してつなぐと…」振動が伝わって相手と話ができる。つまりハンドドラムは空間に浮遊する紙コップの底のようなもの…
Membnophones:音声膜鳴楽器
「叩く」というよりも「振動させる」という打法(叩き方)に答えがある。弦楽器には>打弦・擦弦・撥弦の3種類があるが、ハンドドラムにもそれほど明確ではないが存在する。そしてDTEの3音は@打音:(叩く)A撥音:(弾く)B擦音:(擦る)という発音を示す
手で叩く太鼓の総称を一般にハンドドラムと呼ぶが…私にとっては少し意味が違う、それは最初に楽器があるのではなく「両手のひら」がある。「手を叩けば音が鳴る」これを「パドル*1(拍手)」と呼び、「パドルを打ってリズム」を作り出すことを「パドルドラム(手拍子)」と言っている。
*一般的に手拍子はクラップと呼ぶがここでは混乱を避けるためにパドルドラム(手拍子)としている
つまり「ハンドドラム」とは「パドルドラム(手拍子)」のことを指し パドルドラム(手拍子)には全部で5つの基本となる「手の形」と「音」がある。私はそれを、次のように分類している。
「パドルドラムの基本と成る5つの形」 1.Clap クラップ 指 揃えて 打つ 単音 C 指先を揃え、他の指と親指を離して 手がV字形になるようにして打つ 「パンッ」という高い音「ポンッ」という低い音が同時に鳴る 2.Slap スラップ 指 広げて 打つ 複音 S スラップは指を広げ、指先に力を入れて打つ クラップよりも中低音が強調される 3.Flip フリップ 指 重ねて 弾く 弾音 F 中指と親指を「何かをつまむ」ような形で重ね ひねるようにして弾く「パチンッ」という高い音だけが鳴る 4.Tap タップ 指 曲げて 叩く 叩音 T 指先を揃えて少し曲げ「握手をするような」形で 左右の手を打つあるいは片方の「手のひら」を叩く *2高音と低音の両方を叩き分けることができる 5.Rub ロブ 指 伸ばし 擦る 擦音 R 指先を伸ばし、擦り合わせてリズムの間を取る(消音)
*1パドル(手拍子)は泳ぐ時に手で水をかくように指先を揃えた状態で叩くこと
*2フラメンコのパルマ(手拍子)にはSECOセコ:高音とSORDOソルド:低音の2種類がある。
ハンドドラムの基本は「モーション」にある。ハンドドラムにおける「パドル」は単なる手拍子と違って
@肩 A肘 B手首 C手のひら D指 の5つのパート(部分)から成り立っている。
ハンドドラムを叩こうとするときそれぞれの部分は連動して『ひとつの動作を作りだす。』この瞬間の手の位置から音が発生するまでの連続した流れを『モーション』と呼び、豊かな音の質感や輪郭は『モーション(動作)』と『パドル(手拍子)』の連続によって作られる。
これをハンドドラムでは『パドル・モーション』と呼ぶさらに『パドルドラム』を『ハンドドラム』に応用したのが、次の5つの『パドルモーション』である。
○パドルドラムは5つのHit(C・S・F・T・R)で表される。
@Paddle-Clap パドルクラップ 指を揃える APaddle-Slap パドルスラップ 指を広げる BPaddle-Flip パドルフリップ 指で弾く CPaddle-Tap パドルタップ 指で叩く(曲げる) DPaddle-Rub パドルロブ 指(手のひら)で擦る
○連続するパドルモーションをトラッピングス(*trapingsは打楽器類という意味)と呼ぶ、5つのパドルを組み合わせてひとつのパドルトリック(*トリックは技という意味)を作ること
○ポイントに精妙なアクセントを加え、リズムの変化とうねりをコントロールすること。打音の単位Hit(ヒット)はAction(アクション)から生まれActionは一連のStrokeストロークから構成される。』例えば、あるパドルクラップからフリップの状態にする>パドルクラップの状態からタップするという動作も、一連のストローク中に含まれている。
* ポイントの大きさ(面積) * 複数のポイントを打つ * ポイントに接している時間 によって音色は変化する * ハーモニクスポイントを打つことによって倍音が得られる * ポイントをミュート(消音)する
○ストローク(行程)の中には次の5つの要素が含まれている
@ Target ポイント(打点) ・ 1/2tar 1/3tar 1/4tar *打点はヘッドとハンドの接点を意味し 必ずしも前項で説明した倍音(ハーモニクス)ポイントとは限らない A Speed (速度) 〜 Slow(緩) /Middle(中庸) Quick(急) *速度はモーションによって変化し、ストロークの性質で緩・急が決まる より曲線に近いカーブの方が速度は増す B Angle (角度) ○ Circle(円) △ Triangle(角) □ Square(面) *点と軌跡:指先を打点運動の連続と考え、視覚的な3つの図形をイメージする C Direction (方向) ↑ Fore(前方) ↓ Back(後方) ← Up(上方) → Down(下方) *ストロークの方向はヘッドの中心点と打点を基準に前後上下の動作を決定する。 D Position (位置)  ̄ High(高) ― Neutral(中) _ Low(低) *ストロークの開始位置によって音の強弱が生まれる。 ニュートラル(自然に構えた時の位置)を基準にローハイ(高低)を決める
次に、必要な知識は「手」と「指」についての構造と動きにある。まず手の構造と構成を考えてもらいたい
手の構造 : @wrist(手首) Apalm(手のひら) Bfinger(指){ 1.tip(指先) 2.nail(爪) }
手首・手のひら・指の3つのパート(部分)から成り立ち、何かを掴もうとした時、それぞれの部分は連動して『ひとつのAction(行動)を作りだす。』例えば、意識するしないに関わらずハンドドラムを打ち鳴らそうとする場合『離れた位置から手をヘッドに叩きつけることで響きを得る。』
この瞬間の手の位置から音が発生するまでの連続した流れをアクションと呼び、豊かな音の質感や輪郭はこのアクションの連続によって導き出される。
○ アクションにおけるストロークはイメージした音を作り出す技法であり動作プロセスのオブジェクトであると同時に、パドルドラムの実体部分でもある。以下に示すものは、イメージされた音を実体化するための『ストロークのアクション』である。
『音を形として観る』ヒット&ストロークをイメージすることで音を理解する。

Action(音を打ち出す瞬間)を概念的に考えると
『Actionから運動が派生…ヘッドの衝撃から振動へ変わり…振動波は球状に広がりながら空間に共鳴し倍音を生じる。』このような大まかなイメージを持って叩いてみることが大切である。
ハンドドラムの複雑な音色は右手指の打音だけで作られるのではなく、左手の『グリップモーション』によってヘッドの振動に微妙なアクセントを加えることが重要である。動作各部分をパーツごとに分けるとおよそ以下のように分類することができる。グリップモーションは、このような動作をグリップしながら行い、多彩な表現を可能にさせる技法である。
[単指]…@ ダブル・トリプル A ベンド・チョーク [全指]…@ ミュート・スピン A スライド・ブレーク・ストップ [手腕]…@ ステップ・ターン・ジャンプ
*解説では「利き手」が右の場合を想定しているので、適宜、左右を入れ替えて読み進んでください
パドルコンビネーションは、コンビネーショントリック(技)とコンビネーションスクリプト(手順)に分かれる、トリックは、パドルモーション・アクションストローク・グリップモーションの3要素から構成され、スクリプトはいくつかのトリックを組み合わせてリズムに抑揚を与えるループコンポジションのインスタンス(実体部分)となる。例えば、最も基本的なコンポジションは、ストライク・グリップ・ミュートパット(フレームを固定したままクラップで叩き、次にグリップした指でリムを叩き、中央を押さえる)となる。組み合わせは、無数にバリエーションが作ることもできるが、演奏上、必ずしも不可欠であると思えないものもある。ここではヘッドを叩いて表現するものについて簡単な解説をする。
ex.1 D・E・T
上に示された単純な3拍を、それぞれパドルのクラップ・スラップ・タップの順で叩いた場合、リズムには、音の高低に変化がついて聴こえる。これは「叩く位置」と「手の形」によって導き出される倍音が違うために起こるのである。
ex.2 D−E−T− D・E・T・
次に、ex.2 の6拍を叩く時に、前半3拍はグリップを通常のホールド、後半3拍はグリップをミュートする、さらに叩き方に強弱をつけると、リズムはより明確な変化を持って聴こえる。このようにある特定のリズムに対してパドルトラッピング・アクションストローク・グリップモーションを使って、バリエーションを持たせることをパドルコンビネーションと呼ぶ。
紀元前の時代から、音楽や踊りや詩は、リズムを付けて表現されて来た。その頃、既にリズムは、短音符 ・ 長音符 ― (Vowel + Consonant)とした基本単位拍が存在していた。 長音符 ― は、短音符 ・ の倍の長さ、または、短音符 ・ は長音符 ― の1/2になる。*ここではギリシア時代のリズムで現在でも一般的に使われる拍子を例として解説する。
イアンボス(iambos:またはアイアンビックと呼ばれる。) 最も基本的な長・短音符を組み合わせたリズム型 ex.1 ・ ― (3拍子) アナペスティック(anapaistos:またはアナパイストス) イアンボスに短音符を付加したリズム型 ex.2 ・ ・ ― (4拍子) ピリック(pyrrhic) イアンボスの変化した短音符2つのリズム型 ex.3 ・ ・ (2拍子) ディイアンビック(di-iambic) 連続したイアンボスの組み合わせによるリズム型 ex.4 ・ ― ・ ― (6拍子)
このようにして最小構成拍は、しだいにひとまとまりのリズム型へと変化し、楽想や奏法を含んだ楽曲へと発展していった。伝統的なiqa(ex5.)は、そうした構成分子拍に奏法を含んだ打音を言葉に置換したドラム言語と捉えることができる。
ex.5 Dum Te Ca Dum Te Ca Dum Te (8拍子)
一方ループシークエンスは、安定小節・不安定小節・接続動機から成る様々なイデオム(idiom:慣用楽句)とイカア(iqa:リズム型)の組み合わせによって、より即興的な表現を可能にするリズムスクリプトで、以下に示す5つの反復構造を持っている。また補足ながら私たちが普段聴いている音楽もこうしたシークエンスによって構築されている。
例えば、ex.1では、2拍子のループ4拍子ループを抜け、その後に別の2拍子ループに展開するというように、基本的なリズムスクリプトをループ上で発展・連結・帰結を繰り返しながら 、8拍子のようなグルーブを作り出すことを2−4−2グルーブと呼ぶ
ex.1 2−4−2(トゥフォートゥ)
複合拍子を使った場合のコンプレッショングルーブ
ex.2 5−7−3−3−6(ファイブセブンスリースリーシックス)
ハンドドラム奏法は、複雑な運指を多用するので、パドルコンビネーションを理解するために奏法記譜が必要となる。
□略記法 第一指 第二指 第三指 第四指 第五指 右手 T @ m r l 左手 0 1 2 3 4 パドルモーション クラップ(pc) スラップ(ps) フリップ(pf) タップ (pt) ロブ (pr) ストロークアングル Mute (0) X Circle (1) ○ Triangle(3) △ ▼ Square (4) □ ストロークディレクション UP ↑ Right → DOWN ↓ Left ← ストロークポジション High(高)  ̄ Neutral(中) ― Low(低) _
一般的にハンドドラムの記譜は、文字・数字・記号を使った奏法譜(タブラチュア)で表記される。*この他に、エクフォネテック・ネウマ・文字譜・譜線譜なども用いられる。
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最終更新日 06.03.16 Copyright©Hand Drum Masters.All rights reserved. BACK